スタッフ全員で綴る連載コラム
Vol.125
2015年12月01日
気が付けば師走。あっという間に一年がもう少しで終わりますね。
来年になれば、私がこのクリニックに勤め始めてびっくり、11年目に入ります。長かったようなあっという間だったような・・・。
私はクリニックが開院した2004年の7月・・・の2か月前の5月に息子を出産しました。
陣痛が来てからなかなかお産が進まず、総合病院の階段を1階~7階まで必死で昇り降りした記憶があります。結局産まれるまでに24時間以上かかり、分娩台で2時間以上いきんでも産まれず、もう疲れちゃった眠くなっちゃった。。。ころに中山先生登場。吸引分娩にしてくれて、私のお産は無事に終了しました。2680gと小柄な子で、カンガルーケアをしながら「2680gなのに、自力で産めなかった、私の骨盤って狭いんだな~」なんて、そんなことを考えていて、感動というよりは「やっと終わった感」の方が大きかった、でも、人生の中で体力的にあんなに頑張ったことはないと胸を張っていえる、そんなお産でした。
1年はゆっくり子育てをし、翌年2005年にこのクリニックに就職しました。クリニックは息子と同じ年なので、同じように育っている感じに愛着があります。
もともと総合病院で働いていた私。総合病院では医師が何人もいて、毎日必ず回診があり、お産の時には必ず医師がいて、小児科もすぐに来てくれる。それがここでは、正常分娩ならば入院から出産までを中山先生はすべて助産師に任せてくれています。あおぞらでの就職1年目は、私今まで一体何やってきたんだろ?と思うくらい色々がわからなくて、本当に大変だった!!あおぞらにきて学んだことは、総合病院での倍以上でした。10年が経過した今でも学ぶことばかりの毎日です。
そして今息子は11歳。クリニックも11歳。これから思春期、伸び盛りのお年頃です。
ここには、院長はもちろん、スタッフ同士もずっと一緒に働いている、いろいろなことを一緒に乗り越えてきた仲間達がたくさんいます。
緊急の時、困ったとき、何にも言わずにサッと動いて助けてくれる仲間。一緒に泣いて、笑って、どんなにしんどくても頑張れてきたのはこの仲間達がいるからです。あうんの呼吸で働けるのは本当に幸せだなと、一つ山を越えるたびに思います。素敵な仲間達、戦友です。
お母さん達に「前のお産のときにお世話になった人たちがたくさんいてほっとした。うれしかった」という感想をもらうことがあります。それは私達も同じ。またお産に来てくれて、あの時産まれたばかりの赤ちゃんが歩いて、おしゃべりして、成長した姿をみられるのも本当にうれしいです。これも、長く働いてきたからこその幸せだな~と思います。頑張ってきてよかった。
今年もクリニックでは約600人のお母さんたちが「お産」という大仕事を無事に果たして、笑顔で退院されていきました。
お産では何が起こるかわかりません。一人一人、お産は違っていて、だれ一人同じお産をする人はいません。
痛み始めたらあっという間に強まって、スピード出産超安産だったお母さん。
私みたいに丸一日以上かけてやっとやっと産むお母さん。
赤ちゃんの命を守るために、怖いけど帝王切開を頑張って産んだお母さん。
「私と小鳥と鈴と」という、金子みすゞさんの有名な詩があります。その中に「みんなちがってみんないい」という言葉が出てきますが、まさにお産はその通りだなと思います。
「みんなちがってみんないい」のがお産です。
みんな違うそれぞれのお産に合わせて、お手伝いをしていく助産師という仕事が私は好きです。大変だけど、やっぱり楽しい。10年前より物忘れもひどいし、体力も落ちたけど(笑)、10年先も、同じように助産師として働いていたいな~。
皆さんから幸せのおすそ分けをもらって、これからも私達は頑張ります!
「私と小鳥と鈴と」 金子みすゞ
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速く走れない。
私が体をゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。